作者や作品との出会い、本との出会いの場へと誘う「灯光舎 本のともしびシリーズ」第3弾。
パラオ滞在中に出会った島民の女性をユーモラスに親しみあるまなざしで描いた「マリヤン」、ある南の島に伝わったとされる昔話を題材に描いた「幸福」、そしてタイトルとなった「かめれおん日記」を収録。自身の望まぬ環境と喘息の持病に悩むある教師が、突然生徒から渡されたカメレオンを飼育することになる。その珍奇な小動物の観察から、「自身への呵責と省察」が思索的に展開し、現実と内面の世界を往還する。環境に適応できずに衰弱する「かめれおん」と何とか今の状況から脱却を試みる人間が鮮明に描かれる。また、中島敦の妹・折原澄子氏によるエッセイ『兄と私』を収録。撰者には、書物エッセイストで京都銀閣寺に店を構える古書善行堂店主・山本善行