なぜ日本ではセックスについて語り合うことが、こんなにも難しいのだろうか。現代日本において、男女はどのような性意識・性行動によって、セックスレスになっていくのか。20代から40代の経験者へのインタビューを通して、セックスをめぐるコミュニケーションの困難性とセックスレスカップルにとって、「セックス」はどのような意味や価値を持つのかを考える。
【目次】
はじめに
■第I部
セックスレス現象における概要
第1章
セクシュアリティ研究
1 社会学領域のセクシュアリティ研究
2 現代日本の性意識・性行動の実態(2000 年~ 2019 年)
第2章
セックスレス現象における先行研究
1 セックスレスの定義
2 社会学から見たセックスレス現象
■第II部
インタビューを通じたセックスレスの分析
第3章
インタビュー調査を通じたセックスレスの分析(20代~40代)
1 先行研究の特徴とその限界
2 調 査 概 要
3 インフォーマント22 人の紹介
4 未婚者のセックスレスの現状― 20代中心
5 未婚者のセックスレスの現状― 30代中心
6 既婚者のセックスレス現状― 30代・40代中心
7 全体のインタビュー調査からの考察
第4章
婚外恋愛・婚外セックスとセックスレス
1 婚外恋愛について
2 夫婦間と夫婦外の性意識・性行動
3 インタビュー調査から
■第III部
セクシュアリティの国際比較
第5章
セックスレスは日本特有なのか,西欧でも生じるのか
1 “No Sex Please, We're Japanese"
2 国際比較の実態調査
3 ドイツ語圏の事例からセクシュアリティを考察
4 インタビュー調査の結果と分析
5 考察
おわりに―全体像における結果の考察と今後の課題
1 セックスレス現象について
2 自己目的的セクシュアリティ
3 個人のセクシュアリティ
4 「セックスレス」における定義の再検討
5 今後の課題
補論
セックスレスは雑誌でどのように論じられてきたか
1 2000 年代のセックスレス現象を日本の男性誌・女性誌はどう描いているのか
―解消法に注目して
2 雑誌記事分析の結果
あとがき