〔第一特集〕労働運動は「ジョブ型」とどう向き合うべきか?
2000年代後半に顕在化した正規・非正規の「格差」問題に対して、2010年代には安倍政権下での「限定正社員」政策に対して、本誌では労働運動の対抗戦略としての「ジョブ型」を特集してきた。
いま、ジョブ型をめぐる議論はかつてなく高まり、新たなステージに突入した。背景にあるのは、90年代以降の「成果主義」の迷走を経て、経営者たちが陥った「危機」だ。労働者のエンゲージメントは国際的に最低水準まで落ち込み、グローバル化やDXなどのデジタル化に対応できるホワイトカラー人材の獲得も容易ではない。
同時に、労働者たちもジョブ型に潜在的な要求を抱いている。歯止めのない不明瞭な「責任」のシステムが限界を迎えているのだ。責任の範囲の不確定さに若者たちは不安を募らせ、高い拘束性の有無を根拠として非正規の賃金格差が「正当化」される現実もある。
経営者たちがついに本腰を入れ始める中、この現状を直視し、労働運動は今度こそジョブ型を「武器」にできるのだろうか。
〔第二特集〕ジェネレーション・レフト宣言!
いま世界では、若者たちが資本主義に代わるより公正なシステムを求めて動き出しています。「ジェネレーション・レフト」と呼ばれる彼ら彼女らは、新たな政治勢力として大きな注目を集めているのです。一見、こうした動きは日本では無関係のように思えます。しかし、ここ日本でも、閉塞に向かう社会を変えようと若い世代が声を上げ始めています。気候変動・ジェンダー・貧困など様々な分野で行動する彼ら彼女らはまだ「少数派」かもしれませんが、確実に変化を生み出しています。
日本で社会運動に取り組む四人の若者たちと経済思想家の斎藤幸平さんが、日本での運動の〈いま〉と〈これからに〉ついて議論しました。
〔ミニ企画〕『外国人労働相談最前線』刊行記念 労働相談から見えてきた日本の外国人労働者の実態――解決に取り組むZ世代の社会運動
入管施設内で医療放置のすえ死亡したウィシュマ・サンダマリさんの事案をはじめ、難民など外国人の置かれた実態を長年取材してきたフォトジャーナリストの安田菜津紀さん、『外国人労働相談最前線』の著者・岩橋誠、技能実習制度廃止プロジェクト共同代表の田所真理子ジェイとともに、いま世界中で問題となっている移民労働者の権利侵害を改善するために、私たちができることについて議論しました。