今からおよそ100年前、版画家の山本鼎(やまもと・かなえ)が提唱した「農民美術運動」。農村部の若者たちの副業となり、美術活動への参加を促す運動だったが、戦争とともに徐々に衰退し、戦後、長野以外の地で再興されることはなかった。そのわずか15年の間に全国各地で作られた木片(こっぱ)人形・木彫風俗人形を中心に、様々な制作品をその成り立ちとともに紹介。また、運動全体を俯瞰する解説や、同時期に作られるようになった北海道・八雲町の熊彫との関係、現在長野で作られている作品紹介など、農民美術に初めてふれる人に向けて様々な内容を収録した入門書。
【もくじ】
・戦前の主な農民美術生産組合(全国、長野)
・1章/木片人形その1(日本農美生産組合、信州の生産組合、大湯農美生産組合、木彫秋田風俗人形、大島農美生産組合…)
・2章/木片人形その2(登山人形、スキー人形、スケート人形、野球人形…)
・3章/木片人形その3(越路人形、凹平人形、塩原人形、吾妻木工組合…)
〈コラム〉松本の白樺工芸/彫刻家・木村五郎のこと/八雲熊彫の歴史/各地で作られた竹人形・4章/戦前の様々な農民美術とデザイン画(菓子入れ、木鉢、白樺巻、テーブルタッピー、クッション、ギニョール…)
・5章/山本鼎と農民美術「農民美術って何だろう?」
・6章/現代の農民美術
・現代の農民美術 主な取り扱い店、戦前の農民美術を見ることができる施設紹介