2014年から19年まで東海道新幹線の車内誌に連載された記事をまとめたもので、2022年になくなった骨董商・坂田和實の遺著。名著『ひとりよがりものさし』(2003年刊)の続篇的内容でありつつ、約20年の歳月でえらぶ物や、文章の色あいも変化している。撮影にさいして、物の配置や背景、構図なども提案し、最後まで仕上りを気にしていた本がついに完成。骨董、工芸界にとどまらず、現代日本の生活文化に大きな影響をあたえた「眼の人」の、いつものようにかろやかで、芯のある、最後のメッセージ。
目次|
李朝虱取り受け紙
デルフト窯白釉薬壺と色絵小皿
仏さま
江戸期の硝子
只の××××
ゴシックの扉
雑巾
埴輪のトルソー
おもちゃの車
旗
土師器と須恵器
ドゴン族祈禱用ハシゴ
英国のスリップウェア
秋野ちひろ真鍮作品
筆箱
オランダのタイル
アフリカの土偶
初期伊万里と李朝無地刷毛目皿
ズボン
エナメル絵付硝子
携帯電話
アンデスの布
空箱
インドネシアの壁板
西洋のカトラリー
肌襦袢の端切れとおしめ
中国緑釉銀化かまど
ドゴン族のマスク
段ボールと馬糞紙
南ヨーロッパの瓦
著者|坂田和實 SAKATA Kazumi
骨董商。1945年生(福岡県)−2022年歿(東京都)。上智大学卒業後、商社勤務を経て、1973年、東京・目白に「古道具坂田」開店(2020年閉店)。以来、年に数回、海外へ仕入の旅に出かけ、欧州、アフリカ、朝鮮、日本、南米など、さまざまな国の品物を扱う。1994年、千葉県長南町に「museum as it is」(中村好文設計)を開館。2012年、渋谷区立松濤美術館で「古道具、その行き先−坂田和實の40年」展を開催。著書に『ひとりよがりのものさし』(2003年)、共著に『骨董の眼利きがえらぶ−ふだんづかいの器』(02年)、『日本民藝館へいこう』(08年)など(いずれも新潮社刊)。