京都の町寺に育った百年前の女学生日記。米騒動、スペイン風邪の大流行も今日の出来事だった。「私のする一つ一つの行動が私の一生の歴史を作るのだもの」(1921年6月1日)。大正の転換期社会にある世の中を多感な10代の視点で活写する。寄稿に磯田道史、小林エリカ、藤原辰史の三氏。
【目次】
日記I 一九一八年(大正七)五月一日-一〇月七日
日記II 一九一八年(大正七)一〇月一四日-一九年(大正八)三月二四日
日記III 一九一九年(大正八)四月一日-七月五日
日記IV 一九二〇年(大正九)九月七日-二一日(大正一〇)三月一五日
日記V 一九二一年(大正一〇)五月一日-九月二七日
日記VI 一九二二年(大正一一)四月一三日-九月二四日
序
凡例
井上正子人物関係図
鎖の両端――あとがきにかえて
コラム
1 米騒動と「正子日記」
2 小さな地図にものっていない島 ある遺骨の道案内
3 「正子日記」に見える病の姿 感染症を中心に
4 女学校と女子教育
5 日記の中の新聞
正子のことなど 『井上正子日記』を読む人に
「正子日記」の背景 正子をめぐる人物地図 [井上迅]
徳正寺の間取り図
正子さんの日記と夏の日と [小林エリカ]
『井上正子日記』について [磯田道史]
正子日記の研究 [藤原辰史]
伯母の思い出 インダビュー [井上章子]
「正子日記」年表 1918年(大正7)-1922年(大正11)