2021年3月、島根県立石見美術館で開催された「コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎 ノノ かみと布の原郷」展の公式図録。約2年にわたり、自然布、手漉きの紙、日本古来の精神が宿る場所を求めて日本各地を巡り、各地に残された布と紙に通じる精神性から構成された展示を開催。訪れた場所や出会ったものに宿る気配、私たちとそれらとの目に見えないつながりなど精神的な領域で感取される印象が組み入れられている。かつて人々は暮らしの身近にある草木から繊維を績み、布にして、衣服や暮らしの道具としていた。「自然布づくり」は繊維を取るところから全行程が手作業でなされ、藤織がなされた島根では、ボロになった布は叩いて紙にし、最後まで無駄なく使ったとも伝えられている。 この本の本文と図版はオフセット印刷と孔版印刷、表紙は徳島県拝宮の中村功氏の和紙に活版印刷、さらに、中身ページに佐賀県唐津の前田崇治氏の大麻布紙を手作業により貼り込まれた１冊