陶磁、漆工、染織、金工、木工、ガラスなど、さまざまな素材の工芸品を扱う学芸員、研究者、作家が意見交換する場である工芸史研究会による冊子。
工芸品を文化財・作品としての保存・研究・展示、また技術の継承、原料の生産などの視点で発刊。
<目次>
研究会憲章・活動記録
●会員作品 畑中咲輝 (陶芸)
●第一部 これからの「工芸」
――「工芸」・「工芸史」という茫洋と捉えにくい領域を考える指針として、寄稿論考を収録。東京藝術大学の佐藤道信氏は、明治時代における「工芸」概念の成立とその後辿った展開と工芸の未来、そして水本和美氏は、前近代の工芸に関し、出土品/伝世品の探究という表裏の存在である考古学と工芸史の協働の可能性について述べた必読の二編となる。
佐藤道信 「近現代における「工芸」の展開」
水本和美 「考古学と美術工芸史研究」
●第二部
――各分野を専門とする会員の論考(研究ノート・調査報告・研究動向紹介)を掲載。
神野有紗 「澤部清五郎原画《春郊鷹狩》《秋庭観楓》の制作に関する一考察―浅井忠原画《狩の図》制作過程との比較をめぐって―」
高家融 「清朝工芸における「丸文」の受容と展開―天啓赤絵と清朝宮廷コレクションを視座として―」
巖由季子 「〈調査報告〉江戸時代中後期における陶磁器補修の事例」
廣谷妃夏 「〈研究史〉中国「経錦」研究の百年」
●付録:「工芸」関連展覧会年表(関東編、2008~2023)
寄稿者情報:
佐藤道信(SATOU Doushin)
2024年2月現在、東京藝術大学美術学部教授。主著に『〈日本美術〉誕生-近代日本の「ことば」と戦略』(講談社、1996)ほか。
水本和美(MIZUMOTO Kazumi)
2024年2月現在、東京藝術大学大学院美術研究科保存科学研究室 非常勤講師。 主著に『17世紀の肥前色絵磁器の意匠と技術の躍進事情』(科研費成果報告、2018)、 共著に『鍋島 誕生期から盛期作品まで:明暦三年〈1657〉被災、 江戸城跡出土の初期鍋島陶片』(創樹社美術出版、2011)ほか。