日本人建築家、田根剛の作品集。スイスの家具メーカー「ヴィトラ(Vitra)」の本拠地「ヴィトラ・キャンパス(Vitra Campus)」に建設された「タネ・ガーデン・ハウス(Tane Garden House)」に焦点を当てた内容。「タネ・ガーデン・ハウス」は、ガーデンデザイナーのピート・アウドルフ(Piet Oudolf)によって設計された多年生植物を基調とする「アウドルフ・ガーデン(Oudolf Garten)」のすぐ隣にあり、近くには篠原一男の「から傘の家」も並んでいる。訪問客が利用できる屋上展望台と、庭を手入れする庭師のためのミーティングルームで構成された建築物。田根はこのプロジェクトのために伝統工芸やその土地の文脈を調べ、徹底的な研究をし、まるで考古学者のように「土地の記憶(memory of the place)」を調べた。田根はこのアプローチを「未来の考古学(Archaeology of the Future)」と呼んでいる。実現されることのなかったモデルやスケッチも収録し、建築プロジェクトをあますところなく記録した、未来における建築にインスピレーションを与える一冊