青森で生まれ、今年生誕100年となる小島一郎の未発表作品群の中から「孤高」というテーマで編まれた写真集。39歳で急逝し、僅か10年ほどの活動期間の中で、卓越した構図力と覆い焼き等を駆使した暗室技術で日本の東北地方の厳しい環境に生きる人々の営みを作品として残した。
また、別冊として「東京の夕日」を封入。小島の上京生活で疲弊した心を写すかの如く、都市に沈む夕日に向けられた切なさやもどかしさは見るものの心にダイレクトに訴えかけてくる。どこまでも自分につきまとう東北のイメージとのジレンマ。小島がシャッターを押した東京の夕日のその向こうには、津軽の雪がしんしんと降り続ける静寂の光景が見えていたのかもしれない。既に小島を知る人にも、これから知る人にも新しい小島の軌跡を知ることができる1冊。
参考映像:https://youtu.be/ReriYFH6XEQ
小島一郎
1924 - 1964
1963年『津軽 ―詩・文・写真集―』新潮社
2004年『hysteric eleven』ヒステリックグラマー
2009年『小島一郎写真集成』インスクリプト
2014年『津軽』IZU PHOTO MUSEUM
小島一郎
小島一郎 | 青森県立美術館