第23回三木淳賞受賞作。作家とほぼ同世代の女性を被写体に、自宅や仕事場など、彼女たちが自然体でいられる場所で撮影。中判カメラで撮影されたそれらの写真には、被写体の顔ははっきりと写っておらず、その反面、彼女たちのいる空間や身に纏うものなど風景の細部が鮮明に写されている。美術史において長らくモデルとして「見られる」存在であった女性が、顔を見せず、「見られる」ことを意識しない、ありのままの状態として写されているという点において、新時代のポートレートとなっている。『おいしいごはんが食べられますように』で現代社会における人間関係と心理描写を鋭く表現し、2022年に第167回芥川賞を受賞した小説家・高瀬隼子が解説を寄稿。