
一緒に本作りの歴史を調べ、印刷、製本の現場を訪ねてみませんか。美しく、丈夫で読みやすい本を作るためにどんな工夫がされているのか……。印刷業界のデジタル移行期に刊行された初版から約20年。大きな変革を支えた技術者たちの声から当時を振り返りつつ、今なお引き継がれている本作りへのこだわりを紹介。
目 次
まえがき
コラム 本の種類
コラム 紙にはAとBがある――紙の大きさ
Ⅰ 本と印刷の歴史をたどる――印刷博物館を訪ねて
1 本を生み出したグーテンベルクの智恵
「瞬間凝固」する金属
母型と父型――手動式活字鋳造機
木製印刷機
油性インキ
レイアウトの発想――写本の模倣
はじめての書店
グーテンベルク四二行聖書
2 十六世紀――出版の黄金時代
西ヨーロッパ出版都市の出現
クリストフ・プランタン
3 美しい活字書体
文字と書体
活字書体の誕生
ルネサンスが変えた書体
4 グーテンベルクの発明が動かした社会
宗教改革
ダーウィンの進化論
5 図版が伝えるリアルな情報
「近代科学成立」の影の功労者
「知」の宝庫
蘭学交流
6 図版印刷を生み出す表現技術
銅版印刷(凹版印刷)
リトグラフ(平版印刷)
7 写真の発明と印刷への取組み
見たままを記録する――十九世紀に起こった大発明
8 大量・高速印刷を可能とした技術革新
加圧(プレス)方式の変遷と印刷機の動力化
動力の登場
大量・高速印刷を支えた文字製版の機械化
9 大量印刷が社会に与えた影響
雑誌『キング』
円本ブーム
10 オフセット、グラビア印刷時代の到来
偶然から生まれたオフセット印刷
カラー印刷時代を支えるグラビア印刷
11 消えてゆく活字
写真植字機の登場
デジタル化を迎えた文字組版
コラム 印刷博物館
コラム 「紙」ができるまで
Ⅱ 二〇〇三年当時の印刷――精興社印刷工場を訪ねて
1 活版印刷を知る
文選
植字
刷版
鋳造
2 ポスト活版時代の到来
活版時代の精興社書体
デジタル精興社書体の誕生
3 本づくりの実際
文字入力
画像入力
組版
青焼きチェック
フィルム出力(面付け)
刷版
印刷
精興社のDTP部門
4 色を刷る
四工程
二工程
精興社のカラー印刷
二〇〇三年五月の精興社朝霞工場
刷版を二度焼く――校正刷り
印刷機は回る
コラム 色再現の原理
コラム 印刷物の色再現
コラム 株式会社精興社
Ⅲ 二〇〇三年当時の製本の仕事――牧製本工場見学
日本の製本
断裁が勝負
機械の目が見る丁合
製本もより安く、早く、美しく
ならしからくるみまで
コラム 牧製本印刷株式会社
二〇〇三年から見た「本の未来」
Ⅳ あれから二〇年、現在の本づくり
1 DTPの時代を迎えて
DTP誕生
日本上陸
イメージセッターの登場と活用
動き出した日本版DTP
印刷で使えるデータへ
2 精興社のデジタル移行
移行の現場を振り返る――二〇二四年一一月の精興社神田事業所
効率化と品質のあいだで――二〇二四年一一月の精興社朝霞工場
3 牧製本が目指すもの
二二年間の変化
上製本の魅力
「本の未来」再び