







「Holz Bau」(2020)、「ex-dreams」(2023)に続く、ガデン出版のbau kunstシリーズの第3作。数百年前の伝統木造建築は中世以降の日本建築の構造と空間が調和しているように見えながら、実はそのように見せているのではないかという仮説が生まれてきた。その異なる性質が重なり合う「擬(なぞら)える」関係を主題として捉えなおした1冊。
第一章で日本建築について書かれていた海外の文章を再録し、第二章でリサーチした事例の紹介、第三章でいくつかの論考がまとめられている。論考の中の対談では、構造家の多田脩二、建築史家の光井渉、建築家の難波和彦が登壇。この本は、歴史の正しい答えを求める実証論ではなく、歴史をどのように引き継ぐのかという実践論である。
目次
002 はじめに
006 用語解説
第一章 再録
012 The Architecture of Japan(MoMA,1955)
アーサー・ドレクスラー
第二章 調査
034 調査概要
第一節 原型
046 1 太山寺本堂
056 2 長弓寺本堂
066 3 浄土寺浄土堂
076 コラム 1 構造解析-太山寺本堂|長弓寺本堂|浄土寺浄土堂
第二節 軸組
090 4 興隆寺本堂
098 5 明王院本堂
106 6 金剛寺金堂
114 7 渡部家住宅
122 8 江川家住宅
130 漫画 1 「長弓寺本堂」
136 コラム 2 軸組を擬えた現代建築-東光園|島澤先生の家
第三節 形態
152 9 長寿寺本堂
160 10 教王護国寺蓮華門
168 11 大善寺本堂
184 12 普門寺三重塔
184 13 本興寺開山堂
193 漫画 2 「本興寺開山堂」
198 コラム 3 形態を擬えた現代建築-旧大阪歌舞伎座|吉屋信子邸
第三章 論考
210 論考 調和と調停|福島加津也
228 鼎談 1 現代から日本建築を見る
光井渉、福島加津也、冨永祥子、山本瑠以
248 鼎談 2 仮説としての歴史
難波和彦、福島加津也、冨永祥子、山本瑠以
266 鼎談 3 構造と美学をめぐる旅
多田脩二、福島加津也、冨永祥子、山本瑠以
282 図面一覧