
生き物は死ぬとき、何を想うのだろうか。生き物にとって「生きる意味」は何だろうか。小さな命は、私たちにそっと大切なことを教えてくれている。そんな気がする。カブトムシ、アリ、セミ、ハチ、カマキリ……「命のバトン」を懸命につなぐ35の物語。
■内容
1章 どうせ死ぬのに、なぜ生きる
夏の終わりとともに命が尽きる ――カブトムシ
アスファルト上の望まぬ最期 ――ミミズ
新しい葉を出し続ける目的 ――ダイコン
生きてきた道に輝きを残す ――カタツムリ
食われるものの生き抜く恐怖 ――野ウサギ
命を謳歌する最後の夏 ――セミ
敵だらけの世界で守りたかったもの ――クマ
2章 「死に方」は悲喜こもごも
ふるさとを目指す月夜の長旅 ――ヒキガエル
老兵たちのラストミッション ――働きアリ
年老いた護衛隊は最後まで巣のために ――ミツバチ
紛争地域に暮らす小さな命 ――ハムスター
親元を離れ、心寂しい冒険へ ――タヌキ
日本への片道切符で死出の旅 ――ウンカ
光に群がってしまう悲しい習性 ――蛾
3章 誰かの「死」は、誰かの「生」へ
長生きよりも短命を選択した意味 ――キリギリス
絶滅動物の最後の一頭 ――ニホンオオカミ
「生」が支配される苦しみ ――イモムシ
殺されるために生まれてきた ――ウシ
家畜化しても見続けた叶わぬ夢 ――カイコ
名前もなければ、すみかもない ――サンショウウオ
4章 それでも、命のバトンはつながれた
命をつなぐ男たちの生きざま ――羽アリ
じっと「死」を待ち続ける勇気 ――ジョロウグモ
メスに食われながらの命がけの交尾 ――カマキリ
未来へつながる「死のプロポーズ」 ――セアカゴケグモ
生き残るために、弱さを選んだ ――雑草
我が子を残して立ち去る想い ――ネズミ
雪虫は、ただ風に乗って ――ワタアブラムシ
5章 「生きざま」に正解なんてない
ゴールが見えない山で見つけた屍 ――ザトウムシ
生命のマニュアルが誤作動を起こすとき ――アシナガバチ
「自分の命」は、誰のもの? ――大木
死を前にして、何ができるか ――ネコ
「生」が循環する毒花の不思議 ――ヒガンバナ
死なない生き物の「生きがい」 ――ベニクラゲ
あなたが今を生きている奇跡 ――X
「老後」が持つ他ならぬ価値 ――人間